春の草花たち

1000メートル級の山々が連なる千種町に咲く草花においては、南玄関の下河野地区から、岡山、鳥取県境の山々まで上がる標高差による気温の差を顕著に受け、多彩な植物の分布が確認されています。

鍋ヶ谷渓谷

ミツマタ

昭和30年前後まで、千種では紙の原料となるミツマタの生産が盛んでした大きな窯でゆでた後、皮をむいて、束にしていた光景が今も目に浮かぶ ・・・筆者です。

その後、徐々に植林が進むなど、ミツマタが生息する環境は減少していましたが、ここ数年、間伐や風倒木の処理された後にミツマタの自然繁殖がところどころ見られるようになり、春先の景観をいち早く彩るアイポイントなりつつあります。

群落もよし、渓流沿いの一枝もまたよし。

一里堂と咲き始めたコブシ

コブシの名所

3月も終わりが近づき、4月の風が吹きかけた頃、千種川を麓とする下河野(標高約250m)の東を向いた山々の斜面に小さな白い斑点が見えてくる。

山桜とコブシ

日増しにその斑点は大きくなり、山々を白く彩り、まだまだ寒さの残る北風や時折吹く春風を感じながら、遅れて咲いてきた「山桜」や「菜の花」と共に春の千種の風物詩となり、地元ではこの景色を長く厳しい季節を乗り越えたご褒美として、待ちわびています。

渓流に咲く山桜

山桜

“桜花爛漫”

4月初旬、千種町の最南端(標高243m・下河野)の桜が開花を始めます。
そして、徐々に1,000メートル級の山々の頂を目指して桜前線が登って行きます。

その間約1か月にわたって、この時とばかりに桜花を見せつけてくれます。特に千種は山桜が様々な草木と共演し、ダイナミックかつ情緒ある花模様を描いてくれます。

新緑への多彩な脇役たち

桜前線の北上と共に、それを彩らんかのように、そして役割が決まっているかのように、
様々な木々が順次開花を始めます。

山ツツジの落着いた赤紫色にはじまり、千種町を縦断する千種川沿いの華やかなウツギや優美なフジの花

ラストステージに用意されたのは、生命の輝きの瞬間ともいえる、まばゆいばかりの新緑

こんなステージが4月初旬から5月にかけてちくさを舞台に演出される

一年で一番好きな季節です。

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